Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme

Aozora Bunko

だから私は、貧乏なんです。恐しく貧乏です。が、私は軍隊の経験もあって相当勇敢なつもりです。阿弗利加のスウヴアの兵営に七年もいましたからな。幽霊だって、悪魔だって、ちっとも怖くはない。で、十四号室に泊ってもいいんだが、その代り百法は確かだろうね」

マダムは、巡査の両頬に片っぽずつ接吻して「おお私の勇士!」「わたしの救い主」と叫んだ。直ぐ約束が成立して、カミィル巡査はその晩からホテル・アムステルダムの客となった。おやじのヴァン・デル・ヴェルドは、ふんとうそぶいて、ぼんやり首を振りながら、ジンの酒杯を傾けていた。自殺がつづいて客が減り出してから、おやじは何もしないで酒ばかり飲んでいるのだ。

可哀そうなマダム・セレスティン、その夜まんじりともしなかった。何度となく三階へ上って、十四号のドアの外に聞き耳を立てたが、そのたびに健康そうな、大きな鼾に安心して、自分の寝室へ帰った。先ず、何事もないらしい――。

夜が、明けた。

カミィル巡査は貪るように珈琲を飲んで、大元気だ。どしんと卓子を叩いて、

「素敵だ!」叫んだものだ。「これあ巡査をしてるよりよっぽどいい。こんなことで、一晩に百法儲かるなんて、まるで嘘みたいな話しだ。