Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
「魔がさしたのよ、いいじゃないの」
「貴女にはわからない、これにはこみいったわけがあるんだ」と彼は云った、「しかし、こんなことがあったいま、じつはこうだと話しても信じてはもらえないでしょう、これでおりうさんとも逢えなくなってしまった」
「あらどうして、あたしはなんでもないことよ」とおりうは云った、「だからこそ、あの人たちにお金を都合してあげたんじゃないの、そうでなければ逃げだした筈でしょ」
「お金、――」と彼は息を止め、それからなにかを吟味するように云った、「貴女はいまあいつらに、金をやったんですか」
「だってお師匠さんは、五十両やる約束だったんでしょう」
蝶太夫はびくっとし、それから急に起きあがった。左の眼のふちが腫れ、両頬も赤くなって腫れていた。彼は不安そうな、おちつかないようすでおりうを見た。
「そんなことを、誰から聞きました」
おりうは含み笑いをした。燗鍋の中の徳利に触ってみ、こっちはまだつかないわ、と云って、膳の上に出しておいたほうを取った。
「ちょっと燗ざましになったけれど、あとのがつくまでがまんしてちょうだい」
「貴女は、あいつらを」と彼は吃った。