Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
と彼は云った、「人がましいことを考えると悲しいおもいをするぞ」
「あたしが死ぬのを止めないと云ったね」
「おれはでかける、履物を出せ」
「もういやだ、飽き飽きしたよ」とおくには脇のほうへ身を除けながら云った、「いまさら親のうちへも帰れないし、ほかに頼るところもありゃあしない、こんな日蔭のみじめなくらしをするくらいなら、いっそ死んじまうほうがましだ」
「履物を出せと云うんだ」
「あたしゃ死んでやる」とおくには毒どくしく云った、「でもただこのままじゃ死なない、おまえさんのことを訴えて、なにもかもすっぱぬいてからだよ」
得石は動かなくなった。
「あたしくらいおまえさんのことを知っている者はないんだ、そうだろう」おくには壁に添って身を移しながら、呼吸を荒くして続けた、「おまえさんが石順先生の玄関番、あたしは奥で女中をしていた、そのうちおまえさんは、本石町のむさし屋という、薬種問屋のおかみさんをたらしこんだ、まえから知ってた、おまえさんはまだ玄関番だったのに、石順先生も代脈さんもいないとき、婦人科の病人に治療をしていたんだ、あの胸くその悪い、きたならしい治療をさ、そうだろう」