Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
「おえらいわ」
おみのはくすっと笑った。
「三人の話ではあなた泥まみれになったんですって、頭から顔、手足まですっかり泥まみれになって、眼鼻の区別もつかなかったって云ってましたわ、もちろん嘘でしょうけれどね」
「あいつらと、話したんですか」
「あたしが出なければここへ踏み込んで来るって云うんですもの、しかたがないから向うへいって、酒の支度をしてなだめて来たんですわ」
おみのが酌をしてやり、得石は一と口啜ったが、咽せて、ひどく咳をした。
「それで、女中を呼んでどうなさるの」
「町方へ訴えてやるつもりです」と云って彼は腫れた眼と顔の痣と、太腿を押えた、「このとおり乱暴の証拠が残ってるし、平松町の町内の者も証人になってくれます」
「そうね、そんな悪い人間はお上の手で仕置をしてもらうほうがいいわ」おみのはそこでふと得石の顔を見た、「――それはいいけれど、先生のほうは大丈夫かしら」
「私のほうとは」
「先生のごしょうばいのほうよ」
得石は訝しげにおみのを見た。
「だって」とおみのが云った、「お医者はほかのしょうばいをしてはいけないって、お上のきまりがあるそうじゃありませんか」