Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
千之助は咳をした。すると格子戸のあく音がした。千之助は「早い」と思った。咳を三度するのがきっかけだと教えた。いま来ては早すぎると思ったが、もうまにあわない、襖をあけておはながはいって来た。茶道具を持って、「ごめん下さい」と云ってはいって来、千之助の脇へ茶道具を置きながら、娘を見て「まあ」と大きな声をあげた。
「まあお珍らしい」とおはなは云った、「いつか門前仲町の店でお眼にかかった、おりうさまじゃあございませんか」
千之助は娘の表情をみつめた。娘の顔は硬ばるようにみえたが、怖れの色も、動揺するけはいもみせなかった。
「わたくしはあなたを知りません」と娘が云った、「人違いをなすっているのでしょう」
「まああんなこと仰しゃって、門前仲町の岡田へ、岸沢のお師匠さんといらしったじゃありませんか、あたしあのとき番で、お二人のお世話をした女中ですよ」
「この女に相違ないか」と千之助が云った。
「ええこの人です」おはなは手をあげて娘を指さした、「あたしの眼に間違いはありません、慥かにこの人です」
千之助は片膝立ちになって、娘の左の手首を掴んだ、「おい、正直に云え、おまえこの女中を知っているだろう」