Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
与力という役目からすれば、そうあっさり諦める筈はない。
――そうよ、そんな筈はないわ。
あの女中が「まあお珍らしい」と云ったとき、あたしは息が止まった。喉のところに拳くらいもある固まりのような物がこみあげてきて、息が止まり、眼の前がすうっと暗くなるような感じだった。青木さまがそっぽを向いて、あたしを眼の隅から見ていた。顔は脇へ向いているのに、青木さまの眼はあたしをするどくみつめている。それがちょうど針で刺されるように感じられたので、あたしは却って叫びだすのを抑えることができたのだ。
――あのときに勝負がきまったんだわ。
われながら女はこわいものだと思う。息が止まり、眼の前がすうっと暗くなるように感じ、怖ろしさのあまり叫びだそうとしたとき、青木さまが見ている、と気づいた。するとからだにあの反応が起こったのだ。乳房が重く張り、固くなった乳首が肌着でこすれ、両腿の奥が湯でもこぼしたように熱くなる。満ち溢れたものが静かに解放されるときの、こころよい充足感、――恐怖はやわらげられて、自信とおちついた気分がよみがえってきた。青木さまに捻じ伏せられたときも、自分が勝つことをあたしは疑わなかった。