Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
おそらく、父のたましいはあたしに付いていて、あたしのすることを助け、あたしのしたことでなぐさめられるに違いない。
――死ぬまでにいちど会いたい、ひと言だけ云ってやりたいことがある。
そう云ったときの父の声や、見るに忍びないほど苦しげな表情は、いまでもはっきりと記憶に残っている。母はあの男たちとともに、父の心をふみにじり、父の一生をずたずたにしたのだ。一人の父を、よってたかって責め殺したようなものだ。無力で、温厚な父、……どんなに辛く、苦しく、くやしいことだったろう。「ひと言だけ云ってやりたい」と云いながら、そのひと言さえ云うことができずに死んでいった。
――まだ三人残っている。
桝屋の佐吉があげたのは八人だったが、あたしはその中で五人を選んだ。その五人はいまでも、いろいろな意味で人を苦しめ、騙し、泣かせている。他の三人はゆるしても、五人だけはゆるすことのできない人間だ。
――あと三人。
湯島横町のこの家は引越さなければならない。青木さまはきっと、この家を見張るに違いない。実家のほうも調べれば、嘘だということはすぐにわかってしまう。あれはあたしの友達の家なのだから、そして、友達のおいせさんはもうお嫁にいった筈だから。