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Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

「古い手だわ」と小幾が云った、「人情本を読めばそんな手はいくらでも出て来ますよ」

清一は持っていた盃の酒を、いきなり小幾の顔へあびせかけた。

「あっ」と菊弥が清一の手を掴んだ、「いけませんよ若旦那、どうなすったんです」

「いちいちちゃちゃ入れやがる」と清一は云った、「眼障りだ、帰れ」

米八はじめ他の芸妓たちがとめにかかった。小幾は顔や衿を拭きながら、「いいえとめないで下さい」と、ぎらぎらするような眼で清一を睨んだ。

「あたしはこれで帰らせてもらいます」と小幾は云った、「その代りみなさんの前で、一とこと云いたいことがあります」

「うるせえ、帰れと云ったら帰れ」

「云われるのが怖いんですか」

「小幾ちゃん」とおまさが云った。

「放っといて下さい」と小幾は坐り直して、清一の眼をきつく睨んだ、「香屋さんの若旦那、あたしの云うことが怖いんですか、小若姐さんのことを云われるのが怖いんでしょ」

「云ってみろ」と清一は菊弥に酌をさせながら云った、「おれのほうこそあいつには手を噛まれたんだ、男だからおれは黙ってるが、もしあいつに文句があるんなら云ってみろ」

「男だから黙ってるんですって、へえ、若旦那はそれで男のつもりなんですか」