Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
当主人は伊四郎といい、分家の亀屋伊兵衛の二男が養子にはいったものだが、店の雇人たちは殆んど変っていない。手代の徳次郎だけが暇を取って自分の店を出したということであった。千之助は番頭の嘉助から、手代、小僧にまでそれとなくさぐりを入れてみた。
だがなにも得たものはなかった。
死んだ主人と娘が、よほど店の者によくしたのだろう。かれらはみな二人を褒めちぎり、二人があんなふうに死んだことを、いまでも心から悲しみ嘆いていた。これに対して、主婦のおそのは好かれていなかったらしく、もちろん悪く云う者はなかったが、人の好さそうな番頭の嘉助でさえ、おそのについてはあまり話したがらなかった。
千之助は徳次郎の店を聞いてから、「むさし屋」を出た。
徳次郎の実家は荏原在にあり、十数代も続く大地主で、苗字帯刀をゆるされているという。彼はその二男であるが、自分の望みでむさし屋へ奉公にはいった。去年の秋、礼奉公も済んだので、今年は暖簾を分けてもらうことにきまっていたという。この五月に、下谷御徒町へ店を出したが、それには実家から多額な補助があった、ということであった。
――徳次郎に当ってみよう。