Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

「困ったな」彼は眉をしかめたが、困っているというより、むしろ自慢しているような、おろかな表情が認められた、「へんなときにへんなことがばれて面目ないが、泣かせるとか泣かせないとか、そんな色っぽい話じゃあない、よろず町の店で使っていた女中なんだよ」

「まあ、いいお好みだこと」

「魔がさしたのさ、酔っていてなにも知らなかった」と彼は云った、「ちょうど女房が湯治にいった留守で、酔いざめの水を持って来させたんだが、おつるのほうがその気でいたらしい、私にはこれっぽちもそんなつもりはなかったんだ」

「それで二人も子をお産ませになったの」とおよねはやさしく睨んだ、「口は調法なものだというけれど、悪い方よ、あなたは」

「いや本当に魔がさしたんだ、女ひでりがしているわけじゃあなし、誰がすき好んで女中なんかに手を出すものかさ」

「高麗屋、――というところね」と云っておよねは立ちあがった。

「どうするんだ」と源次郎が云った、「会う必要なんかありゃあしない、うっちゃっとけばいいんだよ」

「あたしの気が咎めるんだもの、そうはいかなくってよ」およねは男の自尊心を煽るように云った、「あたしがその人からあなたを横取りするようなものですもの、その償いぐらいしなければ冥利が悪いわ」