Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
そして他の者が「おめでとうございます」と声をそろえて云った。おしのは歯をくいしばった。
「はい」とおしのは俯向いて答えた、「おめでとう」それからようやくのことで続けた、「どうぞ今年も、よろしくお頼み申します」
店の者たちは逃げるように去った。
――おめでとう。
おしのはその姿勢のまま、心の中でそう繰返した。
――明けまして、おめでとう。
おしのは叫びだしたいような衝動におそわれ、それをこらえるために力限り手を握り緊めた。喜兵衛は太息をつき、これで元日らしくなった、と云った。私は眠るから、おまえは雑煮を祝って、私の代りに年賀の客に会っておくれ、悪いけれど親類の方たちにも失礼するから、と喜兵衛は云った。
三日の夜半――、およそ午前一時ごろに、おしのは父の呼ぶ声で眼をさました。年末からの疲れで性もなく眠っていたらしい。父の呼ぶ声が聞えているのに、なかなか眼をさますことができなかった。喜兵衛はあぶら汗をかき、は、は、と短く力のない呼吸をしていた。おしのはぎょっとし、寝衣のままはね起きたが、喜兵衛はかすかに首を振った。
「そのまま、寝たままでいい」と喜兵衛は云った、「風邪をひくといけないから、寝たままで聞いておくれ、話したいことがあるんだ」