Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
――男は二人の女をただ囲っているわけではなく、稽古所の看板にかくれて、ひそかに男女の出会いにも貸すし、侍や裕福な町人に売女の世話もする。もちろん紹介者のない客は取らないし、その代価も高いので、かなりな稼ぎになるのだが、藤野なにがしは月に二度ずつ来て、二人の女を巧みにあやなし、儲けた物をきれいに持っていってしまう。
――岡場所の亭主などよりわる賢い男だ。
その話をしたとき、源次郎は、そう云って軽蔑したように顔をしかめてみせたものだ。
藤野は旗本というだけでなく、なにか町方役人に顔がきいているらしく、岡っ引などもその家へは近よらない。そう聞いたので、おしのはここを選んだのであった。佐吉の話によると与力青木千之助の追求は意外にきびしく、その手と眼はきみの悪いほど的確に、自分の足跡をぴたっぴたっと押してくる。墓を掘って骨をしらべた、と聞いたときおしのは、青木千之助がうしろから自分の肩に手を掛けるような、現実的な恐怖を感じたくらいであった。
――あと一人で終る。
あとの一人こそ、自分にとってはもっともすことのできない人間だ。この一人を始末するまでは、絶対に捉まってはならない。