Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
「それはひどいよ、別れどきって云ったって、まだ一度も寝たことさえないじゃないか」
「だから今夜はその覚悟で来たって云ったでしょ」
「つまり、やっとのことで始まる、というわけじゃないか、半年の余も待ちに待って、ようやく望みがかなったと思うと、それっきりで別れるなんて罪だ、それはあんまりひどすぎるよ」
おしのは笑った、「あなたの番が来たのよ」
「なんだい、私の番って」
「これまでは女のほうが苦しんだ、何人か、何十人か知りませんけれどね」と笑いながらおしのが云った、「こんどはあなたが苦しむ番なの、わかるでしょ」
「おまえさんは平気なんだね」源次郎の顔に自信ありげな微笑がうかんだ、「今夜なにしても、明日は平気で別れて、そのままでなんともないっていうんだね」
「そんな顔をなさらないで」おしのは気弱そうに云った、「自分でそう決心したんだから、この気持を崩さないでちょうだい、――あなたがそういう顔つきをなさると、躯から力がぬけてしまうような気がするの、あなたって怖い方だわ」
「怖いもんか、私は甘い人間だよ」彼は征服者のように云った、「さあおよね、今夜限りでお別れなら、酒なんかで暇を潰してはいられない、ちょっと向うで休むとしよう」