Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
娘を実の子より大事に可愛がり、店のために骨身を惜しまず働きとおした、そのあげく病気になり、血を吐いて倒れてしまった、長いあいだ心と躯の苦労が積もり積もって、いつか癆にかかっていたんです」
「いいえもう少し」おしのはなにか云おうとする源次郎を遮って、続けた、「もう少しだから聞いて下さい、――おしのという娘は、母を呼んで看病してもらおうと思いました、医者も危ないというし、続けて何度も血を吐くし、せめて一生に一度くらい、御夫婦の情を味わわせてあげたいと思ったからです、でも、おそのという人はそのとき、子供役者を伴れて遠出をしていて、帰って来たときはもう、御主人は亡くなったあとでした、臨終のときにはおしのという娘しかいなかったのですが、亡くなるまえに、御主人は娘に云ったんです、――おそのにひとめ会いたかった、ひとめ会って、一と言だけ云いたいことがあった、たった一と言だけ、云ってやりたいことがあったって……」
おしのは頭を垂れたが、源次郎が言葉をはさむまえに顔をあげ「娘にはわからなかった」と静かに続けた。
「そのとき娘は、日ごろ薄情にされた恨みを云いたいのだろう、と思っただけでした、けれども、母を捜しているあいだに、母の男狂いを知りましたし、遠出遊びから帰って来た母を責めたとき、自分が不義の子だということをうちあけられ