Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
四半刻を過ぎたころ、徳次郎の声が少し高くなった。
「お金はここへ持って来てあります」と彼は云った、「残りの分もお届けします、しかし私は亡くなった旦那に、貴女のことは引受けたと約束しました、いったいこれからどうなさるのか、それをうかがわないうちはこのお金は渡せません」
女がなにか答えた。
「いや、死んだものと思えと仰しゃっても」とまた彼が云った、「現にこうして生きていらっしゃる以上、黙って見ているわけにはいきません」それからちょっとまをおいて云った、「私に迷惑がかかる、――どんな迷惑です」
かなりながいこと、女がなにか話した。
「それは本当でしょうね」と徳次郎が念を押すように云った、「それが本当なら、いまはなにもうかがいません、残りのお金も二、三日うちにお届けします、その代り約束は守っていただきますよ」
女がなにか答えた。
まもなく徳次郎が出て来、部屋の中から「ここでごめんなさい」と女が云った。門は閉っている筈だから横へまわって、勝手口の木戸から出て下さい。この次に来るときも木戸からはいるように、と云うのが聞えた。
徳次郎は中二日おいて、また明神下の家を訪ねた。