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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶっきょうじんせいとくほん

仏教人生読本

岡本 かの子

Lesen Sie 仏教人生読本 (ぶっきょうじんせいとくほん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.886 Zeichen · 246 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、主人はきき入れませんでした。どこまでも、自分の邸内にとどめて可哀相な乞食音楽師を安楽に暮させようと心掛けました。それにもかかわらず老爺のヴァイオリン弾きはしきりに辞去したがる。するとなおさら主人は引きとめる。ほとんど強制的にひきとめる。

ある夜、主人はヴァイオリン弾きの老爺が、突然無断で邸内から抜け出し、どことも知らず、逃げ失せたのを知りました。「ああ、彼は、やはり空飛ぶ鳥であったか」。こう気がついたのは、主人であったか、読者たる私であったか忘れましたが、とにかく利己主義な慈悲の例証にこの話は役立つものです。すなわち、主人は、ヴァイオリン弾きの本質を達観し得なかった。彼の放浪的な運命をつくった性格を見透さなかった。彼の生き方は、どんな憂き艱難をしても、野に山に、街に部落にさすらって歩くのがその性質に合う生き方なのでした。そういうものには、そうさせて置くのが好いのです。彼の幸福は、決して暖衣飽食して富家に飼われ養われている生活のなかには感じられなかったのです。彼は主人に引き留められているうちどんなに窮屈であり、旅が、さすらいが恋しかったか知れないのです。