Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
泥まみれの瓶を見つけ出して、やああったぞとばかり、苦心惨憺、栓をぬいて嗅ぐと醤油だったりした。仕方がない、あしたは平で、日電の小舎には屹度酒があるだろうと、その日はそのまま寝て了い、さてその翌日、針ノ木峠から蓮華の裏の大雪渓を通って平に着く。日が暮れて路が判らず、東信の空小舎を借りて一泊するのにも、若しやどこかに酒がありはしまいかと、キョロキョロした。次の日は対岸の日本電力の出張所で、手あつい歓待を受け、岩魚や熊の肉の晩飯となる。一行三人、キチンと坐ると出張所長の宮本さんが、お酒を上げたいがあいにく切らして……と言われる。いいえ、一向不調法でして……と言いはしたものの、また実際酒があった所で、とても恐縮でそう呑めはしないにきまっているものの、とにかく世界中にこんな美味いものはあるまいと迄伝えられる黒部川の岩魚が、ジジリ、ジジリと焼けて、その香が鼻を打つと、家にしあれば一升瓶だが、あの徳利にコクコクと移して銅壺につける。北ではあすこの酒場のおやじが、松竹梅、白鷹、菊正宗、都菊とそろえているのを、私が行けばむろん「菊」。徳利を持ち上げて、如何にももっともらしく底にさわって見る。