Japanische Klassiker mit Furigana
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めいきょくけっていばん
名曲決定盤
野村 あらえびす
Lesen Sie 名曲決定盤 (めいきょくけっていばん) von 野村 あらえびす (のむらあらえびす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.837 Zeichen · 680 Bildschirme
巻頭言 この書の成るまで
巻頭言
この書の成るまで
音楽を愛するが故に、私はレコードを集めた。それは、見栄でも道楽でも、思惑でも競争でもなかった。未知の音楽を一つ一つ聴くことが、私に取っては、新しい世界の一つ一つの発見であった。
その頃、日本においては、ワーグナーもベートーヴェンも聴く方法はなかった。劇詩としての『白鳥の騎士』を読み、文献によって『第九シンフォニー』の壮麗さは知っても、それを音楽として聴くことの出来なかった時代に、我らは少青年時代を送ったのである。
今から二十幾年前、パデレフスキーやイザイエの名演奏が、レコードとして渡来した時、どんな感激を以てそれに接したか、それは大方の想像に任せよう。続いて入って来た、怪しげなる『未完成シンフォニー』『第五シンフォニー』は、当時の我らに取っては、相対性原理の発見よりも重大な問題であった。
私をレコード道の底無し沼に引き込んでしまったのは、パデレフスキーの弾いたショパンの『ワルツ』や、イザイエの弾いたメンデルスゾーンの『コンチェルト』や、その後ビクターに入って来た、黒盤の『第五シンフォニー』であったかも知れない。僅かばかりの蒐集を、朝聴いて晩聴いて、また寝しなに聴くほど熱中したが、貧乏で臆病な私は、たった一枚のレコードを求めるために、しばしば幾日も幾日も考えなければならなかった。