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Japanische Klassiker mit Furigana

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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

Lesen Sie 堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (だらくろん(ぞくだらくろん)) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.198 Zeichen · 171 Bildschirme

Aozora Bunko

谷村夫妻はたぶん各々の恋をすることになるだろうと私は考えていた。谷村の方は、もう、肉体のない、魂だけの、燃えただれ死んでしまっていいような、恋をしたいのだ、と告白している。そこで、その恋の相手に、とりあえず、私は信子という名前をだしておいた。けれども、とりあえず、そういう名前だけ出しておいたが、どんな女だか、全然まだ考えていない。谷村自身が、信子がどんな女なのだか、やがてその性格を自然に選ぶだろう。まだ私には、それを考えるひまもなく必要もないのだから。その恋愛が、この小説のテーマになるのだろうか? そんなことは全然意図していなかったのだ。

どうも素子の方は、だんだん恋ができそうもなくなって行く。だんだん堅くなり、せまく、ヤドカリみたいに殻の中へひっこんで行くので、どうにも意外だ。私は谷村の恋よりも、素子の方が何かケタの外れた恋をやりだしそうな予感、あるいは予期がないではなかったが、どうも、私は、このへんで、二、三日、書くのをやめて、ボンヤリ、時間を浪費してみる方がいいのではないかと思う。私は二十八枚目まで書いた。思考の振幅が窮屈になりかけたときは、時間でも金でもただ、浪費するのがいいという、これは私が習慣から得た信条で、それに限るようだ。