Japanische Klassiker mit Furigana
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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
Lesen Sie 堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (だらくろん(ぞくだらくろん)) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.198 Zeichen · 171 Bildschirme
七月二十四日
いささかも涼しくならず、かえって、むしあつい。
素子は岡本の媚態を「みじめ」だという。そして、その媚態が話しかけているのは自分の肉体に対してであることを「今」は気がつかない、と谷村は考える。そして、今は気がつかないということに尚多くの秘密があるように思った、というのだが、素子が果して気がついていないか、谷村はそう思ったにしても、果してそうか、どうか。私はどうも、ここで、素子の肉体に同情しすぎたようだ。私は堪えられなかったのだが、素子は気付かぬ筈はない。谷村が、今は気がついていないと解釈するのは変だ。谷村は気付いていると解釈するのが本当じゃないかと何度も思ったのだが、私はどうも、私が素子の肉体に就て、そうあって欲しいと思うセンチメンタルな希望を、谷村におしつけたような気がする。私はそう考えて、いやだったが、然しそうとも断言ができない。ほんとに素子は今は気がつかないかも知れないのだと、なんとなく言い張りたい気持があるので、まア、いいや、こうやっておけ、あとは野となれ山となれ、こんな小説、どうでもいいや、と筆を投げだしてしまったのだ。
七月二十四日(晴)