Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず……」
周知のごとく芭蕉の「奥の細道」の冒頭であるが、これは大和古寺巡礼の際における私の御詠歌として選んだのである。この一節を心のなかにつぶやきながら行くと、不思議にすべての邪念が晴れるのだ。古寺に関する予備知識や美術的関心や、乃至は古寺巡りにつきまとい易い一種の虚栄とダンディズム、それら一切を捨てて、ひたすら旅に身を委ね、何ものかに誘わるるごとく自然にみ仏のもとへまいる、そういう思いを身にしっくりさせたいと念じて私はこれを御詠歌としたのである。
薬師寺東院禅堂の聖観音立像は、天武天皇の時代、百済王より献上せる白鳳期最高の霊像といわるるみ仏である。私ははじめて薬師寺を訪れたとき、何げなくこのみ仏一躯だけを拝して辞し去ったのであった。その頃都会では、古典に関する論議がしきりに行われ、日本美の伝統と再発見は誰の口にものぼっていた。私もまた伝統を思ってここへ来たひとりであったが、しかし私のまず驚嘆したことは、薬師寺の聖観音は、そうした議論とは、全く別に、黙然として佇立しているということだった。