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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

塔にはふしぎな吸引力がある。憧憬と歓喜を与えつつ否応なしに我々をひきよせるのだ。その下に伽藍があり、諸々のみ仏が在す。朝夕多くの善男善女が祈願を捧げている。そういう息吹が炎のようにもつれあって、静かに虚空へ立ちのぼる相をそのままに結晶せしめたのが塔なのであろうか。いつの春だったか、小泉の辺りでバスを降りて、畔道に腰をおろしながら、法起寺と法輪寺の塔を望見したことがあったが、陽炎のなかに二つの塔が幽かに震えているのをみてこの感を深うした。私はさきに百済観音を白炎の塔として仰いだことについて述べたが、大和平原はるかに塔を眺めるとき、私にはそれらが悉く菩薩立像にみえるのである。

薬師寺を訪れるには、西の京から直ちに境内へ入る道筋もいいが、バス街道から田畑のあいだを通りぬけ、塔を望みながらゆっくり歩いて行く途中も捨て難い。この秋は、夕暮近く薬師寺を訪れた。夕暮から夜へかけての塔の姿をみたかったのである。塔の尖端についている九輪のあたりに、浮雲が漂っていて、それに夕陽が映ってくれないに染まった、所謂天平雲を背景とした塔を仰ぎたい、というのが私の長い間の願望であった。