Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
彼女は自家一統の繁栄をはかるとともに、政治にも容喙し、諸臣の進退に言をはさみ、自家に不利なるものはおとしいれた。いま法隆寺に伝わる彼女の念持仏が白鳳の比類ない荘厳を具現しているのは不思議である。あのように崇高なみ仏を拝した人とは思われない。尤も崇仏と政治謀略は別であったことは、馬子以来の伝統かもしれない。
光明皇后はこの辣腕の夫人を母として生れたのである。神亀元年三月御年十六歳のとき光明子として聖武天皇の妃となられ、天平元年八月に皇后として立たれた。臣下の姫にして皇后となるのは稀有であり、まして不比等一族の背景あることを思えば、当時群臣に与えた衝動の大きかったことは云うまでもない。長屋王の自尽は讒言に由ると伝えられるが、若しこの王在世ならば、光明子立后の事もなかったであろうと言わるるところからみても、長屋王の変の背後に介在する魔手は想像がつく。光明皇后は誕生とともにすでに暗澹たる運命を担われていたのだ。
しかも光明皇后御自身は、無比の美貌と端麗の挙措を以て、私心なく帝を愛され、帝とともに信仰の道に入って行かれた。藤原不比等の娘として、おそらく最高の教養をうけられたであろうし、この名家にふさわしい誇りと気品を備えておられたであろう。