Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
いま不空羂索観音を仰ぎみるに、その受難の相貌も、合掌の強烈さも、すべて詔にみらるるごとき大憂悩と大悲心の然らしめたところと申す以外にないであろう。その憂いを、心魂に徹して承けた側近の僧等が、念じつつ創りあげた仏体であろう。この観音に近づく道はこの思いをとおしてより以外になさそうだ。むろん奈良朝における経文の流布や、仏師の彫塑的手腕、芸術的表現力も見逃しえないのであるが、それらを渾然と融合せしめ導いて行った力は、天平の人生苦悩と、そこからの祈念である。不空羂索観音の堂々たる威躯の立つ蓮座の下に、天平の地獄がある。これを懸命に踏まえて、そびゆるごとく佇立したところに強烈な信仰の力があらわれている。聖武天皇の信仰の自伝の一節をそこに拝すると申しても過言ではなかろう。
*
この本尊を中心にして、両脇には周知のごとく日光菩薩と月光菩薩とが佇立している。いずれも鮮かに彩色されていたそうだが、いまは剥落して灰白色になってしまった。私は不空羂索観音の合掌の強烈さに驚くが、この両菩薩の合掌の美しさもまた無比であろう。それは本尊のように、力をこめて双方の掌をぴったり合わしていない。