Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
という言葉につきる。全く諸行無常だ。しかしさすがに自然は有難い。暴風と豪雨の呪われた幾日かをすぎて、いま漸く透明な秋空があらわれてきたところだ。蜻蛉の飛びかう空を眺めていると、まるで何事もなかったかのように平和である。そぞろ旅を思い、大和がなつかしく回想される。斑鳩の里の刈入は終ったろうか。はるかに君を偲び、こんなとりとめのない手紙をかくのである。
*
空襲が激化し、朝に夕に我が都市が崩壊して行った頃、奈良も所詮はこの運命を免れまいと僕は観念していた。夢殿や法隆寺や多くの古寺が、爆撃のもとに忽ち灰燼と帰す日は間近いと思われた。戦いの終った後、その廃墟に立ち、わずかに残った礎の上にいかなる涙をそそぐであろうか。そういう日に、何に拠って悲しみに堪えようか。自分の悲歌の調べを予想し、心の中であれこれと思いめぐらしてさえいたのであった。国宝級の仏像の疎開は久しい以前から識者の間に要望されていた。東大寺や薬師寺の本尊のごとき大仏は動かしえぬにしても、救世観音や百済観音等は疎開可能であろう。しかし僕は仏像の疎開には反対を表明した。災難がふりかかってくるからと云って疎開するような仏さまが古来あったろうか。