Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
現在の私はそうである。
初旅の思い出を百済観音の思い出とする私は、また次のような感想をかいたこともある。昭和十三年の春、雪に埋れた自分の故郷で、前年はじめてみたこのみ仏を思い出しながら。
*
百済観音の前に立った刹那、深淵を彷徨うような不思議な旋律がよみがえってくる。仄暗い御堂の中に、白焔がゆらめき立ち昇って、それがそのまま永遠に凝結したような姿に接するとき、我々は沈黙する以外にないのだ。その白焔のゆらめきは、おそらく飛鳥びとの苦悩の旋律でもあったろう。美術研究のために大和を訪れるなどは末のことで、仏像は拝みに行くものだと、そのときはじめてこの単純な理を悟った。私は信仰あつい仏教徒ではない。しかし茫然と立って、心の中ではつい拝んでしまうのである。
私は小さい時からカソリック教会堂の隣りで育った。長崎や下田とともに日本で一番古い開港場だった北方の私の故郷は、早くから雑多な外人の居留地であった。したがって様々の教会がいまなお残っている。隣りがローマ・カソリックで、その隣りがロシア系のハリストス正教会、その前に英国系の聖公会があり、少し坂を下るとアメリカ系のメソジスト教会があると云った風で、私は幼少年時代をかような環境で過した。