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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし人々は平凡な庭として気にもとめないでいるのだ。だから益々いい。

私はこの庭をどう形容したらいいか考えてきたが、結局、「微笑の庭」と呼ぶのが最もふさわしいようだ。中宮寺の庭はたしかに微笑している。微笑なるがゆえに誰も気づかない。それは思惟菩薩の口辺に浮ぶ、有るか無きかの微笑の余韻かもしれない。恩寵かもしれない。また白砂の庭にふりそそぐ日光が、ほどよく中和され、それが堂内に反射して思惟の姿に一層の柔軟性を与えていることも考えられる。思惟像はおそらくこの光りを滋養として吸収してきたであろう。

屡々中宮寺を訪れているうちに、私はこんな感想を抱くようになったが、しかし遠く離れて、心の中でこの尼寺を思い浮べるとき、とくに微笑のことが一番つよく思い出される。菩薩像も庭もすべてをふくめて、中宮寺全体が微笑の光りのなかに浮びあがってくる。そしてそれが次第に一つの思想に結晶して行くのである。私は戦争の終った秋この文章をかいている。二年間というもの大和を訪れる機会はなかった。硝煙と飢餓の都に住んで、最も憧憬したものは何かと問われるならば、私は微笑だと答えよう。それは戦争の現実の中で得られたかと問われるならば、遺憾ながら否と答えねばならぬ。