Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
これは仏師の罪のみでなく、根本を云えば大乗の教の至らざるところからくる。思想の不消化に関連しているようである。
我が思惟像が、あの幽遠な微笑を浮べるまでには、どれほどの難行苦行があったか。そこには思想消化の長い時間があり、また生硬で露骨な表情に対する激しい嫌悪があったにちがいない。古人のそうした戦いを、私は思惟像の背後に察せざるをえないのだ。美的感覚の問題もむろんあるが、その成長の根には信仰の戦いが必ずあったであろうと思う。微笑は必ずしも心和かな時の所産でなく、却って憤怒に憤怒をかさねた後の孤独な夢であったかもしれない。
私は戦時中それをつぶさに感じた。粗野な感覚、誇示的な表情の横行に対して、つねに武装していなければ精神は死滅するかに思われた。真勇は必ず微笑をもって事を断ずる。真の勇猛心は必ず柔軟心を伴う。だがこれは求めて得られざるところであった。常に正しいことだけを形式的に言う人、絶対に非難の余地のないような説教を垂れる人、所謂指導者なるものが現われたが、これは特定の個人というよりは、強制された精神の畸形的なすがたであったと言った方がよい。精神は極度に動脈硬化の症状を呈したのである。