Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
素気なき答え方。女は少し焦き込んで、
「いえいえ、兄は到底あなた様の敵ではござりませぬ、同じ逸見の道場で腕を磨いたとは申せ、竜之助殿と我等とは段違いと、つねづね兄も申しておりまする。人もあろうに、そのあなた様に晴れのお相手とは何たること、兄の身が不憫でなりませぬ」
「これは早まったお言葉、逸見先生の道場にて我等如きは破門同様の身の上なれど、文之丞殿は師の覚えめでたく、甲源一刀流の正統はこの人に伝わるべしとさえ望みをかけらるるに」
「人がなんと申しましょうとも、兄はあなた様の太刀先に刃向う腕はないと、このように申し切っておりまする」
「それは御謙遜でござろう」
竜之助は木彫の像を置いたようにキチンと坐って、面の筋一つ動かさず、色は例の通り蒼白いくらいで、一言ものを言っては直ぐに唇を固く結んでしまいます。女はようやく躍起となるような調子で、頬にも紅がさし、眼も少しかがやいてきたが、
「もしもこのたびの試合に恥辱を取りますれば、兄の身はもとより、宇津木一家の破滅でござりまする。ここを汲み分けて、今年限り、兄が身をお立て下さるよう、あなた様のお情けにすがりたく、これまで推参致しました、なにとぞ兄の身をお立て下されまして」