Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

こんなふうに、お浜は人を恨んだり自分を恨んだりして郁太郎の介抱に一日を暮らしましたが、直ぐ帰ると言った竜之助は、夕方になっても帰って来ないのです。

「ほんとうにどうしたことでしょう、あの人はあんまり情けない」

お浜は繰返し繰返し竜之助の帰りの遅いことを恨んで、

「どうして現在自分の子にまで、こんなに情愛がないのでしょう」

いったん悪縁に引かされて、お互いに切っても切れぬようになったればこそ、二人はともかくも無事にここまで暮したけれど、お浜にとっては竜之助の愛情がいつも不足に堪えられなかったのです。お浜はじっさい竜之助から、もっと濃い情愛を濺がれたかったはずなのに、それは存外冷やかで、時としてはお互いの心と心との間に鉄を挿んだような隔てが出て来るように感じ、ついには竜之助の愛し方が足りないばかりでなく、二人の間に出来た子供に対してすら、その愛し方に不満足を感ずるのであります。

「郁太郎はおれの子ではない」

竜之助はいつぞや腹立まぎれに、お浜に向ってこんなことを言ったことがある。それが今も怖ろしい勢いでお浜の耳に反響して来るのでありました。

「あの人は、ほんとにこの子を、自分の子とは思うていないのかしら」