Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「ナニ、この御新造がおかしなことを言うもんですから」
敷居の上へ腰を卸して煙草入れを引抜き、太い煙管を取り出して口にくわえ、叺を横にしてはたいてみる。
「いくらになる」
「へえ、亀山から一里半の丁場でござい」
「よろしい」
竜之助は財布を取り出して、小銭百文をパラリと縁台の蓙の上へ投げ出して、その取るに任せると、黒坂は横目で、
「有難うございます」
その小銭はまだ手にだも触れないで、女の方を流し目に見て、
「御新造、酒手の方をいくらか……旦那に話してみていただきてえもんでございます」
女もまたこの時、竜之助のあることを初めて知って、いかにも気の毒そうに、
「そんな無理なことを言うものではありませぬ」
「無理とはどっちの言うことだ御新造、いったいお前様は亀山のどこからおいでなされた、お前様の駕籠に乗り方があんまりあわただしいから、ずいぶん酒手を貰う筋があると睨んだのに何が無理でえ」
「まあ、どうしましょう」
女はわーっと泣き出すと、竜之助はすっくと立って物も言わずに黒坂の横面をピシーリ。
「あ痛ッ」
黒坂は何としたか一度ひっくり返って、その次に居直るかと思えばそうでもなく、雲を霞と逃げて行きます。