Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

これは、お浜に似た女の声。

「妹に会うたからとて、どうなるものではない……ああ、わしはいっそここで死にたい」

「ほんとに、死んでしもうた方が……」

ここで、また話が途切れます。

竜之助思うよう、やっぱり、これは無分別な若い者共じゃ。

「わたしじゃとて、もう亀山へは帰れず」

「わしも京都へは帰れず」

「死んでしまおう、死んでしまおう」

この声は少し甲を帯びて高かった。竜之助がこちらにあることを知らないものだから。

男は死んでしまおうと言う、女がそれに異議を唱えないのはそれを黙認している証拠で、この男女の相談は心中というところへ落ち行くのが、ありありとわかります。

「それでは、お前」

「真さん、わたしは、もう覚悟をきめました」

「済まぬ、済まぬ、お前には済みませぬ」

「いいえ」

「この世の納めの盃」

またここで話が途切れて、暫らくは啜り泣きの声。

「さあ、お前、書き遺すことはないか」

「はい、実家へ宛て、一筆」

「落着いて、見苦しからぬようにな」

「はい」

矢立をパチンとあけて、紙をスラスラと展げる、その音まで鮮やかに響いて来るのです。竜之助は男女の挙動を手にとるように洩れ聞いて、どういうものか、これを哀れむ気が起らなかった。