Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「若先生、今この手紙をお前様に渡してくれと頼まれた」
与八の手には一封の手紙、受取って見ると意外にも女文字。
「お山の太鼓が鳴り渡る朝までに解け」と脅したあの謎の、これが心か。
竜之助は忙しいうちに、くりかえしてこの手紙を読みました。
十一
この日、宇津木文之丞もまた夙に起きて衣服を改め、武運を神に祈りて後、妻のお浜を己が居間に招いて、
「浜、誰もおらぬか」
人を嫌った気色は別段に改まって、愁いと決心とが現われている。
「誰も見えませぬ」
「ちと改まってそなたに申し置くことがあるぞ」
「それは何でござりましょう」
「今日の門出に、これをそなたに遣わします」
机の上なるまだ墨の香の新しい一封の書状、お浜は不審顔に手に取って見ますと、意外にもこれは離縁状、俗にいう三行半でありましたから、
「これは私に下さる離縁状、どうしてまあ」
呆気に取られて夫の面をみつめていましたが、開き直って、
「お戯れも過ぎましょう。何の咎で私が去状いただきまする」
「問わず語らず、黙って別るるがお互いのためであろう」
「まあ、何がどうしたことやら、仔細も聞かずに去状もらいましたと親許へ戻る女がありましょうか、お戯れにも程がありまする」