Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「御主人は御在宅か。拙者は仔細あって姓名はここに申し難けれど、京都をのがれて、旅に悩む者。御高名をお慕い申して……」
「心得てござる、暫時これにお控え下さい」
青年の呑込みぶりは頼もしい。竜之助はしばらく待っていると青年は再び現われて、
「いざ、お通り下され、ただいま洗足を差上げるでござりましょう」
案ずるより産むが安い。さすがの竜之助もその心置きなき主人の気質がしのばれて、この時ばかりは涙のこぼれるほど嬉しかった。
四
植田丹後守には子というものがない、ことし五十幾つの老夫婦のほかに、郡山の親戚から養子を一人迎えて、あとは男女十余人の召使のみで賑かなような寂しい暮しをしております。
子というものを持たぬ丹後守は、客を愛すること一通りでない、いかなる客であっても、訪ねて来る者に一宿一飯を断わったことがない――それらの客と会って話をするというよりは、その話を聞くことが楽しみなのである。
客の口から、国々の風土人情、一芸一能の話に耳を傾けて、時々会心の笑を洩らす丹後守の面には聖人のような貴さを見ることもあります。けれども、ただ客を延いては話を聞くだけで、丹後守自身には何もこれと自慢めいた話はない。