Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
丹後守という人は妙な人で、時々前以て物を言い当てることがあります。
「お前の家へ昨夜、子供が産まれはせぬか」
ある時、或る家の前へ立ってこう言うた時、その家の主人が眼を円くして、
「大先生、まあ、どうして御存じでございます、まだどこへも沙汰をしませんに」
「そうか、それは男の子であろうな」
「左様でございます、どうして、それがおわかりになりました」
「そんな夢を見た、なんにせよ、めでたいことだ」
といって立去ってしまったことがある。
また或る時、借金のために財産をなくしかけて、首を縊ろうか、身を投げようかと思案しながら道を歩いている町の人に出遭したことがある。
「杢右衛門、お前は何を心配している」
「へえ……」
「お前の後ろには死神がついているぞ」
「ええ?」
男は慄え上がって後ろをふり向くと、丹後守は笑いながら、
「もう少し前へ出ると金神が待っている」
丹後守はこの男のために借金と死神を払ってやったことがあります。こんなことは丹後守にあっては珍らしいことではなく、雨が降ること、風の吹くこと、火事のあることなども前以て、よく言い当てたものです。
竜之助一行を送り出しておいて、しきりに胸さわぎがしたので、読みかけた本をふせて、丹後守は座右の筮竹と算木とを取って易を立ててみました。