Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「お逃げなさるは卑怯ではござりませぬか」
七兵衛がやや冷笑を含んで言い放つと、竜之助は、
「机竜之助は逃げも隠れもせぬ、これより伊勢路へ出て、東海道を下る。宇津木兵馬とやらにそう申せ、敵に会いたくば、あとを慕うて東海道を下って参るように。追いついたところでいつなりとも望みのままの勝負」
七兵衛がなお何をか言わんとする時、林の中のどこからともなく轟然と鉄砲の音! つづいて、人の絶叫!
竜之助は七兵衛を捨てて無二無三に馬を前へ走らせた。
薬屋源太郎だけ、ただ一人、道の真中に打倒れている。
その乗った馬は向うの樹の根に身震いして立っているが、馬子の姿は見えない。
お豊に至っては、馬も馬子ももろともに、どこへ行ったか見えないのである。
竜之助は馬から飛び下りて、源太郎を抱き上げた。
弾丸は股を貫いたらしく、大した傷ではないけれども、驚きのあまりに気絶している。
「源太郎どの、源太郎どの」
呼び生かすと、
「むむ」
「気を確かに、傷は浅い」
「ああ……吉田様、早く、お豊を早く……」
源太郎は気がつくと直ぐに、手を上げて藪の彼方を指すのであった。思い設けぬ不覚である。