Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

別に疲れも怖れもしないが、いくら山の中の木の葉の繁みを歩いたからとて、夏のことだから汗も出れば咽喉も乾く。

「水が飲みたいな」

滝の音が聞えない、渓流の響きが耳に入るでもないけれども、山と山との谷間には多少の水はあるものである。木の葉の雫が沢に落ちて、折々通う猪鹿の息つぎになる水を、谷底へ行けばどこかに見つけることができるものである。

七兵衛は、路のないこの山を一つ下りてみようとして、

「はて、誰かこの道を通ったものがあるらしいぞ」

下萌の中を見てこう言いながら下りて行きました。

七兵衛が下りて行った時分、この谷底では、ちょうどこの時、前のような有様でありました。

鍛冶倉がお豊の帯際に手をかけた時だけは、金蔵は怖ろしさも恐さも忘れてしまって、

「親方、どうしようというのだ」

前後の思慮もなく鍛冶倉に武者振りつきました。

鍛冶倉はお豊を放っておいて、そこに投げ出してあった細引を拾い取ると片手に持って、金蔵を膝の下に組み敷く。

「親方、な、なにをするんだい」

金蔵とてもこのごろはかなりの悪党になっている。上から押えられながら、下から刎ね返そうとする。

「この野郎」