Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「そんなら、金蔵さん、ずっと遠く江戸の方へでもお逃げなさい、そうしているうちに、縁があれば、またお眼にかかりましょうから――わたしも実は江戸の方へ参ろうかと思っているところでございますよ」
「ナニ、お豊さん、お前が江戸へ行く? それはほんとかい、ほんとならば一緒に行こう、ぜひ一緒に逃げましょう」
金蔵は涙の面をやっと擡げる。お豊は言い過ぎたのを気がついて、
「けれども、わたしのは、いつのことだか知れません、お前さんのは急場ですから」
「そんなことを言っても駄目、わしに一人で江戸へ行けなんと言ってもそれは駄目だよ」
「そんなことを言わずに、お逃げなさい、あの景のよい東海道を下って、公方様のお膝下の賑かさをごらんなされば、わたしのことなどは思い出す暇はありやしませんよ」
「駄目だ駄目だ、公方様のお膝下がいくら賑かでも、お豊さんという人は二人といやしないからねえ」
「どうも困りました」
お豊は、もうなんと言い賺すこともできなくなってしまったものです。
「お豊さん、わしはこう思っているのだよ、まあ聞いて下さい。わたしのためにわたしの親たちまでが、この土地にいられなくなって立退いたことは、お前さんも知っているでしょう」