Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「いらっしゃい……」
お客と思って一斉にお世辞をふりかけると、七兵衛は丁寧に頭を下げて、
「あの、こちら様は山岡屋久右衛門様でござりましょうな」
「はい、手前は山岡屋久右衛門でござい」
小僧はいささか拍子抜けの体でポカンと立っていると、
「手前は武州青梅から参りましたが、旦那様なり奥様なりにお眼にかかりとう存じまして」
「旦那様か奥様にお眼にかかりたいって、いったいお前さん、何の御用だえ」
「ヘエ、実は御当家の御親類のお娘子をお連れ申しましたので」
小僧は怪訝な面をして、七兵衛とお松の面を等分に見比べておりますと、帳場にいた番頭が口を出して、
「手前どもの親戚の娘子をお連れ下さいましたとな」
「はい、以前本町に刀屋を開いておいでになった彦三郎様のお嬢様と申せば、旦那様にも奥様にもおわかりになるそうで、このお娘御がそれでございます」
七兵衛はお松を引合わせると、番頭は変な面をしていましたが、小僧を呼んで、
「長松、なんせ旦那様はお留守だから奥様にそう申し上げて来な、青梅在のお百姓さんが、本町の彦三郎さんのお娘御をお連れ申してお目にかかりたいと申しておりますって、ね、いいか」