Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「七兵衛、お前は昨夜どこへ行った」

噛みつくように怒鳴るのを七兵衛は抜からず、

「旦那様からお金をいただいたから、欲しいと思っていた網とウケ(魚を捕る道具)を買いに八王子まで行って来ました」

「八王子へ?」

主人が眼を白黒したのも道理で、八王子までは六里からあります。昨夜いつごろ金を盗んだかわからないが、それから往復十二里の道を子供のくせに平気で歩いて来たと聞いただけで、胆をつぶす価値が充分あるのです。

「こういう奴は末が怖ろしい、勝手に出て行け」

それで主人の家をお払い箱になってしまいました。

それからの七兵衛は自分の家へ帰ってコツコツと少しの畑を耕したり、賃雇いに出たりして暮していたが、その後、世話をする者があって隣村から嫁を貰った、この嫁が尻の軽い女で、初めから男があったとかなかったとかいう者もあったが、ようよう一人の男の子を生むと、女房の姿が見えなくなった、近所の人は男と駈落をしたものだろうと言っています。

子供を一人残されて女房に逃げられた時は、七兵衛も大分弱ったようでしたが、その後、子供は里へ預けて来たと言って、それからは一人で暮して、昼は山稼ぎ畑稼ぎをして、夜になっては大概早く戸を締めて人とも交際しません。