Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「殿様のお召しでござりまする、直ぐにいらっしゃい」

「はい……」

「ただいま百人一首が始まったところ」

「あの、せっかくではございますが気分がすぐれませぬ故」

「気分がお悪いとや。些細な不快はあの面白い遊びで癒ってしまいまする、さあさあ早く」

「それでも、わたくしには歌が取れませぬ」

「なんのまあ、お前様ほどの物識りが」

「いいえ、まだ百人一首の取り方も存じませぬ、左様なお席へ出ましては、かえって失礼に存じまする故」

女中たちは左右から、みどりの手を取り抱き上げんばかりにして、

「殿様のお言いつけでござりまするぞ、そのような我儘は通りませぬ」

一人が言えば、

「ほんに、みどりさん、お前はいつもいつもこのような折は、不快じゃの不調法じゃの言いくるめて引込んでばかり。今日は許しませぬ」

花野は躍起になって、みどりの手を引張りながら、

「あれ、あのように殿様のお声が聞えまする、早うせぬとあとでどのようなお叱りに会うことやら」

みどりはどうにも已むを得ません、三人に引きずられるようにして広間へ来て見ると、形のような有様で。

「やあ、みどり見えたか、芳村殿の右へ坐れ、そちも勝負に加わるのじゃ」