Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
みさおが妊娠していることは確かだし、その相手も近所の人たちにはわかっていた。一年ほどまえに、米村五郎という若者がこの「街」へ移って来た。とたんにみさおが眼をつけ、同時に後家のお富さんも眼をつけ、二人とも五郎にのぼせあがった。後家のお富さんは独りずまいで暇もあり、五人の子持ちであるみさおより優位な立場だったから、先取得点はお富さんのものだったらしい。或るとき、五郎がお富さんの家へはいり、三十分ほど経ってみさおがその家へとび込んだ。五郎のはいるのを見てい、ほぼ時間をはかってそうしたのだろう、帯ひろ裸のお富さんとつかみあいの大喧嘩になり、近所のかみさんたちが集まって来て、ようやく二人をひきわけたが、五郎はいつどうやって逃げたか、もうそこにはいなかった。――そのときみさおが、わたしから絞るだけ絞ってこんな女とできあっていたのか、という意味のことを叫んだので、かみさんたちの疑問の二つが解けた。すなわち、みさおのような女に、どうして次々と男ができるかということ、また、良太郎がいい腕の刷毛職人なのに、なぜ貧乏からぬけられないのか、ということである。
良太郎の仕上げたブラッシを問屋へ届け、賃銀を受取って来るのはみさおの役であり、財布を握っているのも彼女であった。