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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

良さんは賃銀の高もきかず、みさおの持っている財布に、いま幾ら金があるかもきいたことはない。みさおは亭主の稼いだものを、好きなように使うことができるのである。そうはいっても、収入の高は知れているから、男に貢いだところで些細なものだろう。他の社会のように、背広を作ってやるの自動車を買ってやるのと、いうような話とは千マイルもひらきのあることだが、この「街」では一杯の焼酎が、他の社会の背広一着にも当る場合が珍しくないのだ。

みさおが五郎にどれほど貢いだか不明である。五郎は田浦さんという仕事師の家に同居してい、たまには日雇い人夫に出ることがあっても、すぐに飽きてしまい、月のうち十日もはたらけば、あとはぶらぶらしているだけ、というふうであった。

お富さんは強敵だが、物質的にはみさおが優勢で、五郎もその点をよく心得て、巧みに両面策戦をやっていた。それが今年の春、お富さんがよそへ引越していったため、みさおが五郎を独占することになり、休戦ラッパが鳴ったというしだいであった。

良さんの五人の子供の、それぞれの実父は、まだこの「街」に住んでいて、かれらもまだみさおとの仲がまったく解消したわけではない、という噂であった。