Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
それを思うと、脚が立ちすくむ。
こうして、寒雪に恐れていつまでもここに佇むわけにはゆかぬ。勇気をつけて、軽井沢の方へ坂を下った。軽井沢の宿へ入ると、人の踏みつけた雪は凍って、油断をすれば低く摺り減った日和下駄の歯が、危うく滑りそうになる。
いまの軽井沢は、文化風の建物が櫛比して賑やかな都会となっているが、そのころはまだ北佐久郡東長倉村の一集落で、茅葺屋根の低い家並みが続いていて、ペンキ塗りの外人の避暑小屋は落葉松の林のなかに、ばらばらと数えるほどしか見えなかった。殊に冬は死んだように閑寂とした宿であった。
きょうも長倉村でさつま芋を五銭買って分けて食べた。ところが信州は物が高いと見える。
上州の板鼻で買ったときよりも、同じ五銭でありながら、きょうの方が量が少ない。そんな細かいことに気づいて、三人は笑った。
浅間颪が、横なぐりに雪の野を吹き荒れてくる。だが尻をからげて路を急いでいると、峠の上で恐ろしがったほど寒さを感じない。かえって、ほんのりと額に汗がにじむくらいである。
沓掛の宿を過ぎた頃は、夕暮れに近い。
七
追分の宿へ着いたら、夜になった。