Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
これも、乙である。その次は、テキである。これは硬くて歯が徹らなかった。カツも出たが、カツも同様だ。さらに、清羮に種とし、人参、大根、青豆などを加役とした椀が運ばれた。しかしこれは随分手数が掛かったものであろうが、あまり臭いので敬遠せざるを得なかった。
その次は、肉片をいったん湯であおり、これにマヨネーズと酢をかけ、それに蕃菜の葉と馬鈴薯とをあしらえ、掻きまわしたものが出たけれど、これにも臭みがついている上に、肉が甚だ硬かった。最後に膳の上にのったのが、味噌汁である。八丁味噌に充分調味を加え、狸肉を賽の目に切って泳がせたのであった。
これは結構であった。先年、虎の門で啜ったたぬき汁と違う。軽く山兎に似た土の匂いが肉にかおり、それが一種の風味となって私の食欲を刺戟した。
以上、いろいろの調理のうち私の賞味したのは、肉だんごである。これが支那料理にある々の炙に当たるかも知れない。次は、味噌汁つまりたぬき汁である。私は、十数年前上州花咲峠の奥の、武尊山の峭壁に住んでいた野猿を猟師から買い受け、その唇を味噌煮にこしらえて食べたことがあるが、軽い土臭と酸味を持っていて口では言い表わせぬ魔味を感じたのであった。