Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
西の空には遙かに、浅間山が薄い煙を越後の方へ靡かせていた。雲雀の雄親は子供へ餌をやる寸暇を盗んで自慢の美声に陶酔するのであろうか。高い空で快く啼いている。黄色い蝶と、蜜蜂が忙しく蓮華の花から花へ舞っている。
やがて、春の遅い日も夕べに近づいて上信国境の山際へ陽が落ちこもうとする。大きな丸い紅い陽が霞に隔てられて橙色に薄れてくる。何と静かな春日だろう。
私は、とうとう雲雀の巣を捜しあてることができないで、若草の野路をいつも田圃から村の方へ歩いてくるのだ。遠い村の方へ、ちらほらちらほらと灯がつく。
少年のことの春を、もう一度味わいたい。(一五・三・五)