Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
『長唄をやらしたら良いだろうね』と朝日の老人が黄色い声で言う。
『フーン』と桃水君が答える。
歌曲をじっと聞いていると悲壮な心持ちになる。舞はこれと反対に頗る優雅だ。この悲壮と優雅との調和してゆくところに面白味がある。梓弓と神路山が良かった。殊に神路山の「上り下り」のところの舞は人を神代の夢に誘ってゆき、思わず恍惚とさせる。それに舞子は何れも十歳から十四、五歳くらいまでの少女なので可愛らしい。
楽長という人は鉄縁眼鏡をかけた、眼のギョロッとした人で、楽器を休めている時は、いつも四辺を気にしていた。
次の序遊の一中節。あの禿げた頭を前の方へ伸べて平たく座って見台を眺めたところを見ると吉備舞と異なって急に芸人臭い感じがした。渋い喉で蝉丸の山入が始まる。『一中は親類だけに二段きき』という川柳がある。それを聴衆は神妙に聞いている。さすが美音会の会員達だと思った。無事にすむと急霰のような拍手が起こった。
歌沢に入る前に二十分ばかりの休憩がある。背後にいる桃水君が、老人に向かって、
『一体芝派の節には艶がないね、今少し何とかなしようがあろうと思う』と言う。
『そうですね。