Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
まで集まってきたが、明治になってからはこれを神戸の商館へ持ち込んで外国へ輸出している。しかし、奥利根の上越国境の山から出てくる猟人が毎年、最も多く狸の皮を持ってくるところを見ると、やはり上州が狸の名産地であると思うと言うのである。なるほど、坂本商店の倉庫へ入ってみると、狸の毛皮が山のようにあった。
私の故郷の村は、利根川の崖の上にある。その崖に続いた雑木林のなかには、私の幼いときまで、随分狸が棲んでいた。天明三年、信州と上州とに跨がる浅間山が爆発して熔岩を押しだし、それが利根川の下流まで流れ溢れ、私の村の近くは火石の原と化したのである。その後、火石の原に楢や椚、栗などの雑木が生い繁って平地と化したのであるが、そこへどこからともなく狸が移り棲んで繁殖したのである。
村の七蔵爺さんというのは、狸と仲よしであったとのことであった。私も子供のとき利根川畔の雑木林へ早春の虎杖の若芽を採りに行くと崖の下の陽だまりのところに、狸のため糞が山と積んであるのを見た。また時には狸の子供が五、六匹、穴の入口で角力などとって戯れているのを見たことがある。晩秋になると、雑木林の方から枯草ぼうぼうたる私の広い屋敷へ、狸が毎夜遊びにきた。