Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
卵巣を普通マコと言っている。薄墨色で肝臓と間違いやすくもしこれを食えば即死だ。けれど、これは婦人病には特効があるというので、日陰干しにして売っているところがあるが、味はからすみに似てそれ以上であるというから酒の肴には絶好の品であろうけれど、恐ろし恐ろし。よく干したものを削って耳掻きに一杯飲むと、身体自ら熱温を生じ性気昂進して、琴瑟相和するところの奇薬であるという。
抱肝も恐ろしいものの一つだ。抱肝は河豚の肺臓であって、肩胛骨の下側についている。これは必ず捨てねばならないのである。それから青い色の胆嚢、赤黒い色の胃袋も警戒ものだ。血液は、毒の源泉だからこれが一滴ついていても洗い落とす必要がある。
七
河豚の肉皮、五臓のうち最もおいしいのが肝臓だろう。甘味、豊饌とは真にこのことである。食っているうちに五体の骨がゆるむかに覚え、神気陶然としてくる。茶色をしていて柔らかい。
それから、雄河豚の睾丸が素敵に珍味だ。白子と言ってちり鍋によく、味噌汁にいい。河豚ぎらいの尾崎行雄老が先年別府で、この白子を豆腐であると言って食わされ、その珍味に感嘆して次の旅行先下関で、あの丸い輪切りの豆腐を出せと言って請求したところ、それは河豚の睾丸であろうという説明を聞き、胆を冷やしたことがある。