Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
銭を持って行ったところで、おいそれとは売ってくれないのだ。炭のことでは、家族手分けして知人や親戚を頼み歩いた。
このほど、家内一同で、なにごとも時世のためだ、できるだけ物の節約をしようね、などと話していると、そこへ町会の世話人が大きなビラを配ってきた。それを読んで行くと、米を節約するために、代用食として饂飩と麺包とが大いに奨励してある。これをみて、二人の子供ははしゃぎ立って喜んだ。
『お母さん、僕うむどん大好き』
大きな子供は、こういって相好を崩した。この子供は母乳が少なかったので幼いときから饂飩を食べならされていた。だから、いまでも饂飩が大好物なのである。田舎にいる時分は、ただうどんといっていたが、東京へきてから何処で聞き覚えてきたのか、うむどんと言うようになっている。
『わたし、パン』
と、妹の方がつづいていった。この子は、どういうわけか小さいときから麺包が好きだ。
そのことがあってから兄の方は、夕方学校から帰ってくると、うどんかけを二杯ずつ毎日食った。そして、まだ物足らぬような顔している。この子は、もう中等学生であるから、学校から腹をペコペコにして帰ってきて、うどんかけ二杯くらいでは、充分というわけには行かぬのは自分たちにも覚えがある。